ストーリーの作り方 〜社内向けプレスリリースを作ろう〜

 

以前に出演したYouTube番組『ECの未来』でお話した回、【保存版】アマゾン元広報が語る!小さな会社でも差別化できる「中小企業の強みの見つけ方」が好評をいただいているようです。

この番組で、自社のブランディングをする第一歩として、「商品やサービスの強み」、「人(社内)の強み」、「組織の強み」の3つの観点で棚卸しをすることが大事だという話をいたしました。

「その強みをストーリー化するにはどうすれば良いか?」というご質問を多くいただくので、今回はこの自社の「強み」を活かして、どのように「ストーリー」していくかについて、拙著『アマゾンで学んだ!伝え方はストーリーが9割』の内容から一部抜粋してご紹介したいと思います。

 
 

ストーリー化には「社内プレスリリース」を活用する

皆さんの会社では通常、新商品や新サービスの開発の前段階として企画書を作りますよね。アマゾンの場合、企画書に該当するものに”社内向け”のプレスリリースがあります。

これはプレスリリースとは言っているものの、メディアなどの対外向けの資料ではありません。

これをアマゾンでは「Amazonの未来プレスリリース」と呼んでおり、顧客視点と共感を生むストーリー作りのツールとして非常に重要な役割を果たしています。

 

「Amazonの未来プレスリリース」とは?

「Amazonの未来プレスリリース」の目的は、「パーパスから逆算したビジネスになっているか」を検証するためにあります。

商品・サービス開発を行う上で、プロダクトアウト/マーケットインというアプローチがあるように、アマゾンが成功した理由の一つにあげられる「顧客第一主義」を突き詰め、生まれたアプローチともいえます。

つまり、自社の商品やサービスが自分たちの存在意義であるパーパスに適っているか、それは自社のステークホルダーにとって有益なものであるか、という視点から外れないよう、軸となる「パーパス」から逆算して確認し、ストーリーを作っていくための「パーパス逆算型ストーリー作成テンプレート」です。

そのため社外に発信するプレスリリースとは性質が異なるものとなり、構成は全く異なります。

この「Amazonの未来プレスリリース」のテンプレートを作っておくと、自分たちのストーリーを作る際に便利ですし、ウェブサイトを作るときや、ピッチや営業シーンなど、お客様に伝えるときなどにも使用できるなど応用可能です。

 

ストーリーの作り方

「Amazonの未来プレスリリース」は以下の順番で構成されます。

① タイトル

② 新サービス・商品の説明

③ 解決されるべき問題

④ アプローチ・解決方法

⑤ リーダーのコメント

⑥ お客様の体験

⑦ お客様の声

それぞれ解説していきましょう。

  1. タイトル
    タイトルに盛り込むべきポイントは、プレスリリースの要点および、その商品もしくはサービスの開始時期を含め、一文で簡潔に、且つ説得力をもって表現することです。

    上司や経営陣に一文で惹きつけ、以降を読み進めてもらえるかどうかの重要な箇所となります。

  2. 新サービス・商品の説明
    ここは生み出したいサービスまたは商品がどういうものかを説明する段落となります。
    パーパス(存在意義)から逆算する際、必ずその存在意義の対象となるステークホルダー(ユーザーや取引先など)がいます。そのお客様の視点でストーリーを組み立てください。
    新しいサービスや商品がいかに素晴らしいものであっても、「自社の自慢」と受けとられるようなアピールは避けましょう。

  3. 解決されるべき問題
    第2段落は、自社に足りないもの、必要なものだから開発しようという発想ではなく、自社の対象であるステークホルダーは何に困っているのか?という問題や、可能性のある機会を明確に説明しましょう。
    ここでも常に「お客様中心」の視点を忘れてはいけません。

  4. アプローチ・解決方法
    第3段落めは、自社の対象とするステークホルダーにとってのバリュープロポジション(お客様が望んでいる価値に対して自社が提案できること)を説明します。
    これだったらお客様の問題を解決できると納得させるものでなくてはなりません。

  5. リーダーのコメント
    この段落では、新サービス/商品開発に実際にコミットしてくれている責任者のコメントを入れましょう。
    これは、自身のアイデアにサポートが得られていることの証明となり、責任者が全面的に使命感を持って携わるのかを保証するものでもあります。

  6. お客様の体験
    第5段落は特に大事な段落となります。
    ここでは、お客様が新サービスや新商品をどのように見つけ、どのように使うのか、簡単にアクセスできるのか、どんなバリューを得られるのか、を明記します。
    カスタマージャーニーに近いですが、このストーリーが魅力的に伝わるか、お客様の体験を元に明確化することがポイントとなります。

  7. お客様の声
    第6段落は自社の対象となるユーザーを創造してください。
    ここでは、対象であるお客様が使用したシーンを具体的に、現実味を持って創造した「お客様の声」を書きます。いわゆるペルソナ設定の延長にあるものです。

 

サンプル紹介

実際に作成したものをご紹介しましょう。
ここでは弊社がサポートさせていただいているリバティーンズ株式会社(Liberteenz,Inc.)を例にご紹介します。


 
 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

「ストーリーの作り方が難しい」とお悩みの方は、このテンプレートを試してみてください。拙著『アマゾンで学んだ!伝え方はストーリーが9割』では、さらに詳細に解説しておりますので、ご一読いただけると幸いです。
また、AStoryではストーリー作りのお手伝いも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

AStoryではアマゾンジャパンの黎明期からトヨタやGoogleを抜いてトップブランドとなった実績(「総合ランキングは、「Amazon.co.jp」が初の総合首位を獲得」)をもとに、ベンチャー、スタートアップ企業の新規上場におけるPR戦略立案やPR担当者育成のサポート、パーパスブランディングの構築支援をしています。

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。