有事の際に必要な広報
今年に入り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のニュースが続く日々です。当社にもこの影響は少なからずあり、この時期に広報はどうすべきかというお問い合わせをよくいただいております。
こういう時期だからこそ!注力すべき広報とは
渡航・入境制限でインバウンド特需は潮が引くように消え、外出自粛で国内需要も冷え込む今この時期に、流れに逆らって無理やり営業をしても逆効果です。PR的な観点ではこういう時期だからこそ社会に何ができるか(貢献できるか)を考えるべきで、それをプロアクティブにできている企業は世間の支持を受けています。
有事に対応したプロアクティブな企業
事例1:「飲食店」
限られた地域で店舗展開する有名レストランが、都内を中心に幅広くチェーン展開する他飲食企業と連携し、有名レストランの味をチェーン店舗の隙間時間を活用して簡単に調理できるメニュー開発をし、Uberを通じて東京都の幅広いエリアで配達するサービスは今盛況のようです。
事例2:「お取り寄せ」
各種ECサービスもこの状況下で外に出ていけない人向けのサービスやキャンペーンを発表し社会の役に立っています。
事例3:「介護ケア」
運動不足の高齢者に、施設にいながら、しかも座っていてもできる体操をプロデュースして、SNSでシェアしたところ、世界中から反響があったそうです。
上記に共通するキーワードは、いずれも「家の中」で楽しめるサービスですが、これら、「社会解決型」サービスの実行企業が有事の際は活躍します。
このような有事の時だからこそ、「なにをやっていたか」が大事。新型コロナウイルスのようないわゆる不可抗力となっている状況下では、メディアもこの状況下で各企業が社会に対してどんなアクションをしていたかを注視しています。平時に発表しているようなリリースをやみくもにメディアに投げる前に、「次の一手」を戦略的に考え、広報することが肝要です。
今やるべき広報その1:「インターナル広報」
あなたが企業に属する広報担当者なら、まず注力すべきはインターナル広報です。社内広報をしっかりやりましょう。理由は従業員皆が不安になったままでは色々な意味で回復に時間がかかってしまうからです。
「会社や店に行けない」「自分たちの仕事がどうなるのかわからない」「会社の方針も見えない」そして、リモートワークでコミュニケーションが減り、ただ上からの指示や情報を待つのみとなった場合、社員は何を思うのでしょう。
日々の報道で先が見えない社会にも不安を持ち、自分が働く会社が大変になりつつある姿をただ傍観するしかない状況、つまり、何も求められず、何も言われない状況では、モチベーションが下がる一方で、それは違う意味で会社存続のリスクとなります。
こういう時にこそ強いビジョン、ミッションを持つ企業は揺らぎません。
このような状況だからこそ広報が取るべきアクションは、「従業員みんなで乗り越えていかなければ」という一体感を醸成していき、各部、各自がビジョン、ミッションを忘れずに今やるべきことを明確化し活動する。そして、PRは、経営層と蜜に連携して方向性について従業員全員にしっかり伝えていく。
企業のトップが今どういうことを考え、社員にどう行動してほしいのかをしっかり表明することも大事です。状況が分かれば従業員それぞれが、「自分たちが働くこの会社を支えるため」に考えを巡らせることもできるのです。
今やるべき広報その2:「危機管理広報」
広報として有事の際、
どのような影響が起こりうるのか、
各事業部で何のリスクが発生しうるのか洗い出し、
各リスクの発生に対し第1アクションとしてどのように社内コミュニケーションをとり、
その後どのように社外にコミュニケーションすべきか、
を策定しましょう。
新型コロナウイルス感染症の件では、韓国での対応に注目が集まっていました。それは、過去のウィルスによる影響をもとに、危機管理を行っていたからと言われています。
様々な有事に備えておくことが結果的に企業を守ることにつながります。新型コロナウイルス感染症のようなケースは不可抗力なので避けることはできませんが、だからこそ今回のケースをもとに万が一に備えて、リスク管理をしておくことがネガティブインパクトを最小に抑えることにつながるのだと思います。
会社存続のために短期的に売上・利益の回復を求めがちになってしまうと思いますが、この機会に長期的に自社のアイデンティティを明確化し、会社にとって最大の競争優位の源泉である人的リソースをフルに活用できるような企業文化を構築するコミュニケーション戦略をつくることをお勧めします。
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