失敗しないためのコンサル活用
「コンサルティング」もしくは「コンサルタント」と聞くと怪しいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
また、実際にコンサルティング会社に依頼して「失敗した」方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はコンサルティングを入れて失敗する理由、また、コンサルティングを導入した企業のPRの成功事例について30年間PRに携わってきた知見をもとにお話します。
PR代理店を入れても成果が出ない理由
まず私の経験からお話すると、事業会社の広報担当として25年勤めてきたなかで、「PR代理店」と呼ばれる20社前後の様々なPR会社とお付き合いをしてきました。
代理店にはもちろん素晴らしいところがたくさんあるのですが、その活用の仕方を間違えると宝の持ち腐れになってしまうことがあります。
お付き合いしてきた代理店の多くは、現場に派遣するスタッフが若く、彼らのキャリアは長くても5年ほど。
さらに事業会社で実際にPR経験を積んだ上で代理店に転職してきた人はほぼいませんでした。元々PR業務のスタートがPR代理店であり、代理店としての立ち位置でクライアントのPR支援をされている方々が多いため、個人的に感じたのは事業会社のPRとは役割が違うのだということです。
つまり、クライアント側がPR代理店の役割や使い方を知らずに丸投げした場合、代理店側のみでは真芯でとらえた効果的なPR活動が難しいのです。
私の場合は、戦略は自社で立て、活動に必要な具体的な支援をPR代理店に依頼していました。
そもそもなぜPRコンサルティングが必要なのか?
PR代理店を最大活用するには、クライアント側がしっかりとPR戦略を描いて、社内でまかなえないサポートやスポット的に必要な人的リソースなど様々な戦略のなかで必要性に応じて「代理店にはこの部分をお願いしよう」といった活用であれば効果を生みやすいと思います。
しかしながら実際はクライアント側が丸投げしてしまうケースが多いようです。
とりあえずPR代理店というものを入れるとメディアでの露出が増えて、自社のブランドやサービスの認知が自動的に上がるという思い込みを持たれる企業が多いのですが、それはクライアント側がしっかりと自社の戦略を描けるかどうかでその精度も大きく変わってくるものなのです。
代理店側も、
「どんな戦略を描きたいのか?」
「どんな目標を達成したいのか?」
というクライアントからの命題が明確にあった方が結果を出しやすいはずなのですが、実はその部分が欠落しているケースが多いようです。
PR代理店のなかにはPR戦略を代行して作るという会社もありますが、事業会社の戦略策定は経営者や事業の責任者との密なディスカッションがなければ真の戦略は作れないと自分の経験から実感しています。
例えばクライアント側のPR窓口になっている人が社内で情報を集めて、それをメッセンジャー的に代理店に伝えたとして、それをはたして代理店がPR戦略に落とし込めるでしょうか?
PR戦略というのは本来、事業会社側でつくるべきだと思います。
とはいえ、「PR戦略なんて作ったこともない」という会社が実際には多いのが実情です。
私が起業した理由でもありますが、このようなニーズをもつ企業にはPR戦略を作るためのコンサルティングが有効です。
PRコンサルティングの活用方法
PRコンサルティングには「PR戦略を策定する」というところに大きな役割があります。
この戦略(活動の地図)を作ることができなければ目標達成への近道はありません。
戦略策定はPRにおけるゴール達成のための地図です。しかしながら、その「ゴール」が分からないというケースもあります。
その場合はゴールも一緒に考えて設定してくれるコンサルティング会社を選びましょう。
「そもそもPR戦略ってどうやって作っていくの?」というところからコンサルティングでサポートします。
正しいゴール設定とPR戦略・戦術を策定できるように、よき伴走者になることがコンサルタントの役割です。
コンサルタントが策定していくのではなく、策定過程を”伴走”していくことで企業の広報に力が付き、最終的には企業の「広報」という経営資源になりえます。
いつまで経っても正しい戦略が何かがわからず、見様見真似でなんとくなく立てた戦略で何年も費やしてしまい、結局社内に確固たる経営資源が作れないという状況は非常にもったいないことです。
だからこそ、PR戦略策定のプロと一緒に戦略を策定し、PDCAを回すことに意味があります。
PDCAを回すと課題がたくさん見えてくるようになります。
そして改善すべき点をコンサルティングが壁打ちでサポートしていく。この一連の活動を行うことで、戦略の策定方法や戦術の描き方が分かり、その実行において浮上する課題の対策を的確に行っていけるようになります。
これを何年も繰り返すことにより、自社内で自立して回していけるようになり、社内に「広報」という強い経営資源が育まれます。
肝心なのは、そのための「初動」を間違えないことです。
コンサルティングは自社の経営資源を作る・育成するためのサポート役です。
アウトソースの活用で成功する企業の特徴
実際にAStoryにくる依頼内容で多いのは、私のバックグラウンドへの期待もありますが、「広報組織をどうやってつくるべきか」や「広報の人材育成をどうすべきか」「PR戦略はどうすればよいか」「どうPR活動を実行したらよいか」などです。
昨今はBtoCだけでなくBtoBでも広報の戦略作りを一緒に行いたいという企業が増えてきています。
ここでPRコンサルティングを活用した事例をご紹介します。
【クライアントの概要】
BtoB企業(メーカー)
店舗向けの専売商品を提供している会社
2年半前に依頼
【依頼の理由】
従来は取引先の店舗が自社商品を仕入れ、取引先の店舗で自社商品を売ってくれていたが、現在はその商品を提供するメーカーの認知がないと店舗の成長が見込みにくい状況になってきた。
さらに、コロナや人口減少などによって取引先である店舗に事業機会を増やす必要性が出てきたため、店舗の多角化をサポートするための施策が必要になった。
このような状況から、メーカー側は自社のブランド力を社会的に向上させて、一般消費者も「あのメーカーの商品がほしい」と指名してくれ、取引先である店舗が喜んで商品を売ってくれるような循環を作りたい。
以上の理由でこの企業はBtoB企業ですが、一般消費者向けのPRを希望されました。
【成功する企業の特徴その1】
―明確な意思表示―
この企業は直販ではないため宣伝してすぐに消費者が反応してくれるかという懸念があることをしっかり理解した上で、長期的に広報機能を強化して長期的視点で一般消費者にメーカーに対する信頼と共感をもってもらえるようにしたいという明確なお考えがありました。
AStoryがサポートに入ったときは広報未経験の担当者が見様見真似でプレスリリースを発信したり会社紹介資料をつくるなどPR活動を試行錯誤してやっていた時期でした。
ここで先ず着手したのはPR戦略の策定です。
【成功する企業の特徴その2】
―能動的思考―
この企業が素晴らしかったのは、「自分たちで考える」という姿勢があったことです。
AStoryで用意したテンプレートに沿いながらも、まずは自分たちで考えるという姿勢がはじめから見られました。
【成功する企業の特徴その3】
―経営者・意思決定者との良好なコミュニケーション―
社内でディスカッションした内容をベースにセッションをしながら、AStoryからも多面的に提案や質問をしていくといった壁打ちを行うのですが、こちらの企業はその合間に社長とも進捗を共有していました。
社長から節目節目でインプットがあり、その経営視点でのフィードバックを反映しながら、より社会とコミュニケーションできるような方法を模索していく、という具合です。
もちろんその間にも広報活動は行われ、広報活動の戦術の中でも戦略を活かしたコミュニケーションも並行して実践します。
メディアコミュニケーションなどの諸活動を最初から上手く行えるわけではないため、そこはAStoryの専門的な見地をインプットするといった精度を上げていくサポートをしていきました。
当初一人だけだった広報は、今は3人のチームになり、今後はいよいよ海外へのPR活動も展開していくフェーズになりました。
現在は自社のみで戦略立案から実行、改善と回していけるようになり、約2年半でAStoryから自立するに至っています。
外部コンサルを入れて成功した秘訣には、すべてを外部のコンサルティング会社に描いてもらうというよりは、先ず自分たちが描きながらプロの視点を入れていき、そこでより精度を高めて自社のニーズに合い、自社の企業規模で着実にできることを描いて現場で実行に移せることを一つ一つ形にしたことにあると思います。
まとめ
コンサルティングはずっと入れ続けるものではないと思っています。
コンサルティング会社またはコンサルタントは、自社が自立していく過程をサポートしていく役割であり、早く自立をするための伴走者です。
また、PR代理店を活用する際は、自社で描いた戦略の中で、必要な戦術においてその分野を得意とする代理店を活用すれば、その効果は最大化するはずです。
そのための最初の地図は自分たちで作りましょう。
そこにコンサルティングを伴走者として活用していくとより効率性は上がります。
PRコンサルティングやPR代理店を導入する際は、その前にその戦略や戦術が良いか悪いか(正しいか否か)が判断できるスキルを身につけて、アウトソーシングする場合は正しく発注しましょう。
AStoryではPR戦略策定のお手伝いをしています。ご興味のある方はお気軽にコチラへお問い合わせください。