地方PRこそストーリーを! ~社会の共感を得る広報戦略とは~
地方におけるPRをどう進めるべきか?
全国からこのようなご相談をいただく機会が増えています。
今回は、日本経済新聞社主催の「日経懇話会」にて、愛媛県の各業界のリーダーの方々が集う場で『社会の共感を得る広報戦略とは』をテーマに講演させていただきました。
講演では、日本でまったくの無名だったAmazonが、どのように現在のポジション(GAFAと呼ばれる巨大企業の一つ)として、大きな影響力を持つ企業に成長したのかを、Amazonの広報時代の経験を基にお話しました。
新参者であったAmazonが日本にビジネスを根付かせることできたPR戦略における大きな要因は2つあります。
それは、
「ストーリー化」 したこと、そして、
「社会との調和と、共感を得た」 ことです。
詳しくは先日上梓した拙著にも書いておりますので、ここでは地方におけるPRに焦点を絞って講演でお話させていただいた内容をご紹介したいと思います。
PRとは何か?
AStoryが考えるPRとは、
「企業と社会が互いにベネフィットを享受することを目的とした戦略的なコミュニケーションプロセス」
です。
多くの企業が、自社の商品やサービスについて日々PR活動を行っていることと思いますが、一方的な利益を目的にしたものや一方通行なコミュニケーションではダメなのです。
インハウス広報の方には、時として、企業と社会の間に立つ立場であることを忘れ、自社を猛プッシュするケースが見受けられます。たとえパワーやブランド力でPRに成功したとしても、それは一時的であることがほとんど。結果として会社のブランディングにつながっていなことがしばしば起こります。
では、どんなコミュニケーション戦略にし、どのようなプロセスを踏むべきでしょうか?
地方のインバウンドビジネスを取材誘致した成功例
弊社のクライアントに民泊事業の会社があります。外資系企業で、当時日本では名も知られておらず、弊社で認知向上施策を担っていました。
今でこそ、「民泊」というワードは全国に浸透していますが、当時、世間では海のものとも山のものとも言えない状態。
訪日外国人が年間1,000万人を超え、中国人による爆買いバブルで商圏が賑わい、東京でのオリンピック開催が決まって数年、「インバウンド」というワードが定着し、宿泊施設不足が叫ばれ始めた頃でした。
そこで、AStoryがまずしたことは、
当時の社会やメディアの関心・課題をストーリー化
したことです。
当時、社会の関心であった「インバウンドビジネス」と「地方経済の活性化・地方創生」、そして、一般住宅に有料で旅行者を泊めるルールを定めた「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が制定されようとしていて、メディアの関心も高かった「民泊」、この3つをストーリーにしてメディアにアプローチしました。
取材誘致することができたTBSでは、「インバウンド特集」として放送していただくことができました。
(過去ブログ「インバウンド促進PR(スタートアップPR)」にて紹介しています。)
成功するPRその1「ストーリーの作り方」
『アマゾンで学んだ!伝え方はストーリーが9割』で具体的に説明させていただいていますので、ここでは簡潔に述べますが、ストーリーを作る上でのポイントは以下の3つです。
会社のビジョンやミッション、ゴールを深く理解する。
社内に眠っているリソースを掘り起こす。
人、商品・サービス、組織などに仕分けしてメディアの関心事に絡めてストーリーにする。
①は広報担当者なら「何を今さら」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、外部のPR会社に委託されている企業は特に留意していただきたいポイントです。目先の目標(メディアへの露出数など)だけをKPIにすることで、数字を強引に達成しても、ブランドイメージやメディアとの長期的な関係が築けるとは限りません。まずは扇の要である広報担当者が自社をきちんと理解した上で、関係するすべての方々にコミュニケーションをする。そして、自社のビジョンやミッション、またはゴールに基づいたリソースを社内のあらゆる視点から洗い出しましょう。
さらに、そのリソースを自分なりに整理することも大事です。掘り起こしたリソースを適時に発信できるよう仕分けし、”6項目”(次章で紹介)に絡めたストーリーにすることで、メディアにとり上げられやすくします。
成功するPRその2「メディアへの伝え方」
TBSの番組に取り上げていただけた要因として、社会の関心と繋ぎ合わせる(=調和させる)ことが挙げられます。社会の関心事=メディアの関心事でもありす。
それでは、社会はそもそも何に関心があるのでしょうか? AStoryでは以下の6つに分類しています。
「新規性」
「独自性」
「時事性」
「優位性」
「季節性」
「意外性」
上記6項目をストーリーに絡めて発信することで、貴社のリソースがメディアにとり上げられる確率がグンと上がります。
(詳細は拙著内第4章『メディアに必ず聞かれる「4大質問」とは?』に譲ります。)
地方PRで大切なこと
地方には無数の財産が眠っています。地方の企業や団体には、それを引き出して輝かせる可能性があるはずです。
これは地方に限ったことではありませんが、「うちは大企業でも有名ブランドでもないから無理」と、諦めてはいないでしょうか?もしくは、やみくもにPR動画やインスタグラムを始めてみたものの、効果を得られていない団体も見受けられます。
自分たちの会社、地域のポテンシャルを信じ、策に溺れず、貴社に眠る宝を発掘してください。
そして、この3つのステップでストーリーを作り、6項目に絡めて、その魅力を国内外に発信していただきたいと願っています。
AStoryでは全国各地での講演・セミナーも承っております。お問い合わせはコチラへ。