BtoB企業の成長のカギ!今すべき広報活動とそのポイント

 

こんにちは。パーパス・ブランディング・コンサルタントの小西です。
弊社にご相談いただく企業様に多いお悩みに、「認知度がなくて人材採用にてこずっている。」「社員のエンゲージメントが高くない。」というお声があります。一般消費者に密接な商品やサービスを展開しているBtoC企業よりも、BtoB企業に多いお悩みです。
そこで今回はBtoB企業の認知拡大・ブランディング向上に寄与するための、広報担当者がすぐにできる施策についてご紹介していきます。

 
 

1. なぜBtoB企業は広報を強化すべきなのか?

 

・ 企業の認知度は人材採用に影響

企業の認知度が低ければ、求職者に知られていないので新卒はもちろん、中途採用にも苦労します。
また、就活サイトなどに企業情報を掲載しても、知名度だけで比較されてしまえば求職者からの応募がなかなか来ないということもあり得るわけです。

人材不足が深刻といわれる昨今、ならば今いる社員にもっと頑張ってもらおうと思っても、社員のエンゲージメントが高くないと嘆く経営者の方々は多いようです。
前回の記事でもお伝えしたとおり、「いかに社内でパーパスやビジョンが浸透しているか」は社員のエンゲージメントに大きく影響します。

 

・ 選ばれる企業になるために

今はオンラインで簡単に情報が取得でき、且つご丁寧に他社(商品やサービス)と比較してくれるサイトもあります。つまり、価格やスペックでしか自社の商品やサービスを比較してもらえないのです。
価格で比較されて選ばれたらよいのですが、価格では勝てず、さらに企業そのものの知名度がないために選ばれてないBtoB企業は世の中に多く存在します。
お客様が簡単に「選べる」時代になったからこそ、価格でも認知度でも勝てない企業にとっては差別化が難しく、「選ばれる」のが非常に困難な時代となったといえます。

 

・ BtoBの先にあるものを意識する

そもそもBtoBの企業であっても、toBにあたるお客様の先に存在しているのはC(カスタマー)というケースがあります。
このエンドユーザーに直接モノやサービスを提供する事業ではないBtoB企業であっても、toBであるお客様の先に一般消費者(C)がいれば、その人たちに自分たちのブランドも認知されていないと、お客様(B)も売りにくいということもあるでしょう。
だからこそ、BtoB企業も一般消費者(C)に知ってもらい、お客様(B)がもっと売りやすくなるような導線を作っていくべきなのです。

お客様(B)向けに一生懸命営業したり、広報しているだけでは不十分な時代になったのです。つまり、BtoB企業が成長していくにはもっと社会と信頼構築をしていき、「信頼されるブランド」になっていくコミュニケーションに力を入れるべきでしょう。これはまさに広報の仕事となります。

 

・ 評価されている企業はパーパスの浸透に注力

広報とは様々なステークホルダーとの関係構築をする仕事です。
アメリカの主要企業で構成され、アメリカ版経団連ともいえる「ビジネスラウンドテーブル」が、株主だけでなく、5種類のステークホルダーへのコミットやパーパスを強化すべきと「企業の目的を再定義」したのが2019年でした(関連記事『評価される企業が重視していること』)。

アメリカでは、5種類のステークホルダー(お客様、従業員、取引先、地域のコミュニティ、株主)に対して、自分たちのパーパスを理解してもらい信頼構築に努めることを積極的に推進してブランドを浸透させる企業が世界経済を牽引しています。そのなかには、アップルやアマゾンのほか、BtoB企業であるアクセンチュア、デロイトといったコンサルティング会社、世界最大の航空宇宙企業であるボーイング、そしてシスコといったITベンダーなどがあり、もはや、BtoB、BtoC関係なく、ステークホルダーとの強力なコミュケーションが必須となりました。

 

2. 今できるBtoB広報4つの具体策とポイント

先ずは自社(インハウス広報)でできることとして4つのポイントを挙げていきます。

 

・ その1「オウンドメディアの見直し」

企業が発信するチャネルは4つの種類に分けられます。Paid Media(広告)、Earned Media(パブリシティ)、Shared Media(SNS)、Owned Media(自社メディア)の頭文字をとってPESOと呼んでいます。
なかでも、最もコントロールできるのが「Owned Media(オウンドメディア)」です。自社が持つチャネル(ウェブサイトや会社案内など)を見直してみましょう。

 

見直しのポイントは「プレインランゲージ」

オウンドメディアを見直す際に、是非意識していただきたいのが「平易な言葉で表現する」こと。
ウェブサイトには「About us」や「代表メッセージ」など挨拶文が掲載されていることが多いですが、なかには長文で、トレンドを意識したキーワードを使っているものの、肝心の経営方針は伝わらないという内容も散見されます。

ご参考までに、移民の多い国アメリカでは政府が公文書に記載する文章はプレインランゲージ(Plain Language:読み手が内容を簡単に理解できるような言葉遣い、文章)で作成するという義務があります。

私もクライアントさんには高校生でも分かるレベル感でコミュニケーションすることをお薦めしています。
コミュニケーションはその業界の中だけではないため、社内だけで理解し合える用語の使用には気を配りましょう。例えば、社員のご家族に読んでもらい、もし「内容がよくわからない」と言われたら見直しが必要です。身近な社外の方に確認して、「いつも使っている用語や表現」が一般的かどうかを測るバロメーターにしましょう。

長年、もしくは日常的によく使っている業界用語は、それを専門用語だと気づいていない従業員が多いものです。特にカタカナ用語には要注意です。
それが業界用語かどうか分からない場合は、オンライン版の日経新聞などでキーワード検索してみてください。そのままその用語が記事内で掲載されていれば、一般的に使われている言葉とみてよいでしょう。もし、形容詞で説明が加えられた固有名詞として紹介されていれば、説明がないと一般には伝わらない用語と捉え、オウンドメディアでの使用も分かりやすい説明を加えてみてください。

 

・ その2「パーパスの明確化」

オウンドメディアには、自分たちが目指すMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスがきちっと伝わる内容になっているかを見直しましょう。
求職者が企業のパーパスを重視する割合が年々増加しているという調査結果(*1)があるように、求職者は企業の「社会における存在理由」を加味して企業を見ているので、パーパスがしっかりと伝わっていないのは機会損失になってしまいます。
自社のパーパスやMVVを明確に発信していくことで共感者が増え、信頼性が増すという効果が期待できるでしょう。

「パーパスもMVVも特にない…」という企業は是非AStoryまでお問い合わせください。

*1:出典「ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表

 

・ その3「人が生き生きして喜ぶ姿」

オウンドメディアで残念なケースが「人」が見えないことです。ここでいう「人」とは、イメージ画像のモデルではなく、実際にその企業で働く社員のことです。中の人が見えてこないBtoB企業は非常に多いです。
例えば、「働いている人」だけでなく「お客様の声(どんな人が喜んでいるか)」なども、人間味が感じ取れますし、より身近に感じることができます。中の人がまったく出てこず、商品やサービスの説明に終始しているウェブサイトでは共感を呼びにくいでしょう。

ウェブサイトなどのオウンドメディアで中の人が見えていると、それを見た人はその会社のイメージが湧きやすく、また安心感を感じるものです。仮に製品をtoBに売る会社だった場合、オウンドメディアでいくらその製品の特長を並べても、見た人はスペックで他社と評価し、価格やアフターサービスなどの様々な観点で選ぶことになるでしょう。
この製品を選ぶとき、「私はどんな人に対応してもらうのだろうか」という関係性も選択肢になる時代なのです。だからこそ、中の人を上手く活用したコンテンツを検討してみてください。

BtoB企業だから社員のタレント性は必要ないとは考えず、人という素晴らしいリソースを通じて、お客様との関係構築に繋げていってほしいものです。

 

・ その4「トップのコミュニケーション」

会社の経営陣のコミュニケーションをどう活かしていくかも大事です。しかしながら、社長はメディアに出たがらないというケースも多いのです。
弊社のクライアントにも、社長自身が取材に出たがらないという企業があり、広報さんにご相談をいただきます。
目的と内容によってスポークスパーソンをセッティングすることが重要ですが、社長も当然、ステークホルダーとの信頼構築に寄与しますし、会社の”長”という顔が見えることは信頼作りに強力に貢献します。

企業のトップにはやはり、自社が築きたいステークホルダーとの信頼構築のなかで、「何を担ってほしいのか」をPR戦略の一環として説明し、これは”ミッション”であることを理解していただきましょう。
そのためには、社長に丸投げ、お任せではなく、例えば、広報がメディアからの取材依頼を受けた際は、社長に「どんな目的をもって対応すべきなのか」、「どんな人たちに何を伝えるべきか」という戦略とストーリーを作って社長に納得してもらった上で登場していただく必要があります。

「人」にフォーカスしたコミュニケーションではトップの登場はとても有益なのです。

 

3. 今すぐやるべきこと

私もかつてクライアントから、「自社のビジネスが複雑過ぎて、社員が家族に説明できない。」というお悩みをいただいたことがありました。それは相当な機会損失です。
まず会社のファンは第一に社員であるべきだと思いますし、そのファンの先に社員のご家族がいるわけです。最近は親や恋人に反対される「親ブロック」や「恋人ブロック」なんて言葉も出てきました。社員や候補者が身近な人に説明できるように会社は努力すべきです。
「(父や母、もしくは自分の息子、娘)が働いている会社っていい会社なんだよー」と評価していただくことに、その企業の価値を裏付ける説得性があります。

故に、今すぐやるべきことは「社内コミュニケーション」。つまり、社内のファン作りです。
ファン(社員)には、この会社と一緒に成長、成功したいと思ってもらえることが大事で、それがエンゲージメントを高めていくことに繋がります。
社内の方々といかにコニュニケーションしていくか(インターナルブランディング)がとても有効に働くので、是非今すぐに取りかかってみてください。

会社によっては、社内報や社内イベント、イントラネットの有無といった環境に依ってしまいますが、社員とのコミュニケーション手段がメールのみの場合はメールで、「今、社員の方々に何を理解してもらいたいのか」、「社員に何を期待しているのか」、「頑張っている部署の取り組みは何か(を他部署に共有)」、「お客様の反応は」など、様々なことがコミュニケーションできるでしょう。
このとき広報は、社員とのコミュニケーションの”目的”を、社長をはじめとする経営陣がしっかり合意できるよう進めていくことが重要になります。

 

4. BtoB企業のブランド成長に欠かせないもの

広報活動を強化することは、いずれ企業の追い風になっていくでしょう。

信頼を獲得できると、一般の人(将来の従業員やビジネスパートナー、お客様となり得る人々)から信頼をもたれて、自社の成長にプラスに働く関係性が構築できます。信頼は企業やブランドの成長を加速させます。BtoB企業は広報活動を強化して追い風を作りましょう。

企業の広報活動やオウンドメディアの見直し方などについてサポートが必要な場合は、お気軽にAStoryにお問い合わせください。

 

AStoryではアマゾンジャパンの黎明期からトヨタやGoogleを抜いてトップブランドとなった実績(「総合ランキングは、「Amazon.co.jp」が初の総合首位を獲得」)をもとに、ベンチャー、スタートアップ企業の新規上場におけるPR戦略立案やPR担当者育成のサポート、パーパスブランディングの構築支援をしています。

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