一年の計は年末にあり?この時期に広報がすべき重要なこと
今年も残すところあと僅かとなりました。オリンピックイヤーとして盛大に盛り上がるはずだった2020年は、幕を開けてみれば新型コロナウイルスで誰もが予定通りとならない激動の1年となりました。
さて、2020年が終わろうとしている今、企業や団体の広報チームは来年に向けて忙しいのではないでしょうか?
そうです。来年の「PR戦略」を策定する時期ですね。もし、これから着手しようとしている広報担当者や、策定中だけれど上手くいかないという方のために、今回は今すべきPR戦略策定のためのステップと戦略策定時にありがちなお悩みの対処法についてご紹介したいと思います。
PR戦略策定のステップ1「今年の振り返りをしよう」
2020年はコロナの影響で予定していたイベントできなかった企業や団体が非常に多かったと思います。また、水面下で準備していた発表ができなかった、もしくはベストタイミングを逃しインパクトに欠けてしまったという企業も多かったことと思います。これら対外的なPR活動以外にも、リモート環境下での社内コミュニケーションという新たなチャレンジが生まれ、広報担当者の皆様にとっても悩みの多い年だったのではないでしょうか。
来年も続くであろうこの不透明な状態でもより有効的なPRを行うために、今、広報担当者がすべきことの1つ目は「今年の振り返り」です。
今年を振り返るために必要な材料があります。
それは昨年末または今年の年初に立てた「PRゴール」や「PR(広報)戦略」です。そのゴールや戦略が、どれほど達成したか?いくつかある戦略のうちの何が成功して、何が課題となったのか?を細かくチェックしましょう。
もしそれらの材料がない場合は、ご自身のチームで立てたPRスケジュールや個々の施策のゴール設定などをベースに振り返ってみてください。
PR戦略策定のステップ2「ラーニングを作ろう」
前述の通り、今年は予定していたPR活動が思うように実行できなかった企業が非常に多い年でした。実行できなかったことを来年に持ち越すのか、もしくはリセットして来年は来年として新たに何かをするのか、という検討をしてください。
そして、今年のPR活動を振り返って成功したこと、失敗してしまったことで、「何が学びになったのか」という気付きをラーニングとしてまとめましょう。その上で来年はどのように改善していけるのかといった戦略の練り直しをし、目標設定に反映します。成功や失敗、課題をそのままにしておいては長期的な目標を達成することはできません。
PR戦略策定で躓きがちな広報のお悩みと対処法
お悩みの声:「せっかく策定したPR戦略ゴールが事業部側のゴールと噛み合わない」
まず、広報は何のためのPRをするのでしょう?
このようなお悩みを抱える広報チームは、「会社のブランド力アップ」が命題とされているからこそ、ジレンマを抱えるのかもしれません。基本的に広報の職務は、自己完結ではなりえないはずです。広報はあくまでも“追い風を吹かす”のが役目。相手がいないと成立しないのです。だからこそ、広報だけのゴールは成立しないはずです。
今一度、自分たちPR(広報)部署に求められている役割 ― 会社の価値そのものを上げていく広報なのか(広報の役割の最たるものだと私は思います)、もしくは事業活動のなかで特定の商品やサービスの開始を成功させなくてはならない(商品PRなど)広報なのか ― を確認してみましょう。※事業活動のPRも戦略次第で会社の価値向上につながります。
そして、社内の“ステークホルダー”(経営者、役員、部門長など)が誰かということを明確にして、その方々とのコミュニケーションをしっかりとり、来年のゴールを理解した上で、そのためのPRは何が有効なのかを考えてみましょう。
お悩みの声:「経営層もしくは事業部から、まだ来年の事業目標が上がってこない(戦略策定したいけどできない)」
このようなお悩みを抱える広報担当者の方は多いのではないでしょうか?事業推進に沿った広報活動ができないのであれば、長期的な観点で会社全体の価値を上げるための広報戦略を進めていきましょう。例えば、昨年立てた目標と比較して、来年どうすべきか(注力分野)を盛り込む、事業以外の企業の活動、トレンド発信などです。
そして、各事業部の戦略やスケジュールが見えてきた段階であらためて全体のPR戦略をレビューしましょう。また、忘れてはいけないのが、来年の社会や経済はどうなっていくのかという外部環境のトレンドのリサーチです。PRカレンダーにはその内容も盛り込んでおきましょう。なぜなら、「なぜ今コレなのか?」という問いが、メディアとのコミュニケーションでは不可避だからです。自社に関わる社会の動きをしっかり把握しておくことで、メディアに取り上げてもらいやすいタイミングが見えやすくなります。
またその際、一見会社とは無関係なようでも、社会的に重要なキーワードや定番化しそうなイベントには注意を払ってください。例えば、「SDGs」は年々重要度を増しており、メディアでもSDGウィークとして取り上げる機会とその大きさが広がっています。この動きは来年もさらに強まるでしょうし、SDGsには企業が担うべき目標も設定されています。つまり、SDGsを社内でPRして社員に啓蒙していき、SDGsに関する活動計画やその発表タイミングについて戦略を立てることもできるでしょう。
お悩みの声:「戦略を立てても予定通りいかない」
B to Cで成り立つ事業は特に、スケジュールはあってないようなものが多いので、PR戦略策定は難しいと感じる広報担当者の方が多いようです。2020年は新型コロナウイルスの影響で、B to Bでさえも予定通りいかないことが多い1年でしたし、来年もそうなる可能性は高いと思われます。
もし戦略通りに事が運ばなくても、軌道修正すれば良いのです。確実に軌道修正が見込まれるなら、年間計画ではなく、半期や四半期毎に策定してみてください。そして忘れずに、社内ステークホルダー(社長、役員、部門長など)と修正したPR戦略・ゴールに合意を得て会社一丸となってPR活動を推進することを心がけましょう。
1月のPRネタがない?そんな広報さんに試して欲しいこと
ずばり、「社長の年頭所感」です。年明け早々に発信するPRネタがないとお嘆きの広報の方は、2021年最初のPR活動として是非これを試してみていただきたいです。
企業の代表による年頭所感は、仮に一般紙や経済紙に取り上げてもらえなくても、業界紙などを通じて業界のお客様に企業トップの考えや、企業のその年の方向性を発信する良い機会となります。社長の年頭所感だからと、かしこまった長文でなくても大丈夫です。ポイントを5行程度にまとめ、社長の画像を添えて各メディアに送るだけでも、業界紙などは取り上げてくれる確率が高いのです。もちろん自社サイトに掲載するのも良いと思います。
「発信するネタがない」
「我社はメーカーや製造業ではないのでPRするモノがない」
というお悩みも、季節柄の話題に合わせた発信をすれば、メディアの「なぜ今なのか?」の問いに充たした内容となり、取り上げてもらいやすいものとなります。春夏秋冬を活かした試みであればやって損はないことですので、是非試してみてください。
大事なのは、何の目的も戦略も持たずに”点”になるようなPRをしても、残念ながら誰も評価してくれません。また、自分自身も成功したかどうか手応えがないはずです。社内ステークホルダーととことん話し合うことを恐れず、2021年のPR戦略を策定し、PR活動が実りの多い年になることを願っています。
AStoryでは来年のPR戦略策定のお手伝いをしています。ご依頼・ご相談はコチラまで。