社会に影響をおよぼす地方企業の挑戦
先日の沖縄出張では、新しい沖縄のEC経済圏を創るという構想のもと起業したアマゾン時代の元同僚に会い、その会社が実行しているパーパス経営について話をうかがってきました。
沖縄県民のための超特化型ECプラットフォーム
代表の根路銘氏はアマゾンのほか大手のEC企業に約20年携わってきた人物です。沖縄出身でもある根路銘氏は、EC業界での経験を武器にして、沖縄の新しいオンライン経済圏を構築することを目的に起業しました。
根路銘氏が立ち上げた会社、イノベスタ株式会社は、「沖縄の人たち向けの、沖縄のなかで完結するEC」を運営しています。つまり、沖縄県民だけのアマゾンサイトです。これは、沖縄の販売事業者が沖縄に住む県民に対してサービスを提供するオンラインショッピングモールになっており、根路銘氏いわく、「1社で10億円ではなく、沖縄県内事業者100社で1,000億円を目指す」というビジネスモデルになっています。
沖縄に貢献したいという熱意が伝わってきますね。
パーパス経営を実践する会社のユニークなゴール
この会社では企業理念はビジョン、ミッションをしっかりと携えており、また、ユニークなゴールを設定しているところが特徴的です。
【イノベスタ株式会社のゴール】
沖縄県内のすべての企業がオンラインビジネスに参入できるインフラを提供する
沖縄県のEC化率を2025年までに現状の1%から10%に増加させる
沖縄県におけるキャッシュレス普及率を全国1位にする
沖縄県産品の地産地消をオンラインで実現し、外部に依存しすぎない経済圏を創る
外国人観光客がテクノロジーを使って、言語や通貨の違いを超えて不自由なく、沖縄観光を楽しめるようなサービスを提供する
地元を愛し、地元をよく理解する人物が、自身の得意分野で課題解決という社会貢献のために具体的な数字を掲げて臨んでいることがよく伝わる内容です。日本の経済を沖縄がリードする日も近いかもしれません。
社会課題の根本を解決する活動
根路銘氏は沖縄県内のITリテラシーに着目し、ただ単にオンラインショッピングビジネスのためのツールを提供するという自分たちの事業を推進するだけでなく、沖縄県内の方々のITリテラシーを上げるためのボランティア活動も熱心に行っています。
そこからは「長期的に自分たちの存在意義が活きるような社会を創っていくんだ!」というパーパス経営への気概が感じられます。
もちろん、まだ起業して間もなく、理想とする世界までチャレンジが続くと思いますが、将来がとても楽しみな会社です。
また、まだ従業員も少ないなかでも、しっかりと広報担当の方がいらしたことは、事業推進における広報の力を理解されていると嬉しく感じました。
このように、社会に貢献するようなビジネスを創っていく人や会社は大変かもしれないけれど、長い目で見れば様々なステークホルダーから支援・応援してもらえるような会社になるに違いないと私は思っています。
モーレツに自分たちの利益だけを追求するという時代が終わり、まさに共創社会にあるべき経営姿勢のお手本と言える事例ではないでしょうか。これは中小企業にこそ実践してほしいと思います。
もちろん実践するには企業体力も必要なことはいうまでもありません。先日の記事(「中小企業にいま必要なもの」)でもご紹介した、目先の投資やリソースの確保といった経営のために必要な資金のための助成金はおおいに活用すべきです。
当社では利用可能な助成金などのご相談も承っています(助成金無料査定についてはこちら)。
日経も注目!パーパス経営は社会が求める指標
日本経済の根本である会社の在り方が問われていることは、この日本経済新聞の最近の記事からも伝わるのではないでしょうか。
『御社の存在意義は何ですか 「強欲」「不平等」転換のとき ―カイシャの未来 志を探して①―』https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF23B0F0T20C21A8000000/
また、日経電子版内で「パーパス」というキーワードで検索すると、100以上の記事が集まっています。
https://www.nikkei.com/search?keyword=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%91%E3%82%B9&volume=107
これら日経に掲載されている記事に示されているとおり、日本社会にパーパス経営というものがいかに重要になってきていることが分かります。2021年ももうすぐ終わりますが、すべての経営者が認識すべき状況にきているということだと思います。
来年の2022年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。壬寅は「陽気をはらみ、春の胎動を助ける」という意味があるそうです。厳しい冬を乗り越えて芽が吹き始め、成長する年というイメージでしょうか。
2022年はすべての中小企業にパーパス経営がスタンダードとなる象徴的な年となるよう、当社も引き続きパワフルに支援させていただく所存です。
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