1月にやっておくといいこと
2022年はどんな年になるでしょうか。年明け早々の1月にやっておくといい活動として、新年における世の中のトレンド予測を知ることもその一つです。
私は毎年トレンド予測に関する書籍を複数購入するのですが、今回はそのなかでも読みやすいものを3つご紹介します。
『これからの日本の論点2022』
まず1冊目にご紹介するのは、日本経済新聞出版の『これからの日本の論点2022』。
日本経済新聞を代表するベテラン記者やコメンテーター、編集委員ら22名が日本経済や日本の企業のこれから、そして世界の変化といった3つの切り口で、22におよぶ論点が展開されています。
私自身もよく知る記者の方も執筆されており、日頃から彼らの記事を拝読しているからか、日経記者たちの2022年予測は非常に説得力を感じます。
昨年の2021年版において、私自身が参考になったトピックスは、「人類の課題解決につながる技術」や「付加価値を付けたサービスの必要性」について論じていたものが、PR戦略を立てる上で役立ちました。
日本の現状は可処分所得が上がらず、「失われた20年」などと経済成長の失速が指摘されているなかで、日本の経済活性化のためには付加価値をつけたサービスがますます必要になる……という内容でしたが、2021年を振り返ると、話題に上った新サービスや商品多くが、付加価値がキーワードになっているものだったと思います。
『これからの日本の論点2022』は日本経済と日本企業、そして世界の潮流を概観することができる1冊です。
日本経済新聞にアプローチする可能性がある企業は必読です。
ご興味のある方は最新の2022年版についてはアマゾンサイトにて試し読みしてみてください。(→アマゾンサイトへ)
『2022年ヒット予測100&2021年ヒット商品ベスト30』
2つめにご紹介するのは日経BP社が発行する雑誌「日経トレンディ」が毎年12月号でテーマにする翌年のヒット予測と当年にヒットした商品紹介です。これは毎年購読される方も多いのではないでしょうか。
「ヒット予測100」に掲載されているランキングのなかには、AStoryが現在サポートしている企業で非常に役立ちそうなキーワード、
「シン・エコ活」
「メタバース」
「NFT」
「育成プロジェクト」
などもありました。
これらのキーワードに関する商品やサービスが2022年以降、さらに出現してくることが予測できるため、PRで戦略を策定したり、マテリアルを作成する際や、記者へのメディアアプローチで活用することが可能です。むしろ、メディアが「今年はこれがくる」と主張している内容なので、メディアアプローチでは積極的に活用すべきです。
『2022年ヒット予測100&2021年ヒット商品ベスト30』 は自分たちの企業活動との接点を探りながら、メディアアプローチでの言葉選びを行う上で非常に役立つ1冊だと思います。
今回の最新版をみると、上位のほとんどが新しい価値観を生んでいるもの、既存商品やサービスに新たな価値を付加したものばかりです。
そのため、「どういうところが付加価値になったのか?」という視点でこの『2022年ヒット予測100&2021年ヒット商品ベスト30』をみることで、自社での商品開発やサービス企画を行う上でのヒントになるでしょう。
また、「付加価値が何なのか?」ということをしっかりメディア側に伝えていけるようなコミュニケーションも、ここから学べることが多いと思います。
AStoryではセミナーなどで「ニュースの切り口」についてお話することがありますが、ニュースの切り口としていくつかあるポイントのうち、「時事性」と「意外性」がこの『2022年ヒット予測100&2021年ヒット商品ベスト30』には詰まっています(「新規性」ももちろんあります)。
「そういえば、あるようでなかった!」という切り口が多いのです。
企業のリソースを生かしてそれをどのように進化させるか、また、既存のものに価値を与えていく、というところに「意外性」という視点で表現できているとPR力はさらに高まるでしょう。
ちなみに、あるようでなかった面白い切り口の例として、
・「できたての冷凍食品」(参考情報:「冷凍技術が飲食店を救う!?」NHK・おはよう日本)
・「プロフィッシュ」(参考情報:「プレミアムオーガニックフィッシュ」JR西日本公式サイト)
・「キャンプ場サブスク」(参考情報:「究極の「キャンプの平日サブスク」で、南信州を周遊する」BCN+R)
などはPR視点で個人的に響きました。
これらの情報はPRだけでなく、事業を推進している担当者にとっても、発想を生み出すきっかけになります。
日本の経済を活性化していくためにも、安売り思考ではなく付加価値をどう付けていくか、ということへの足がかりとして活用しましょう。
最新版はアマゾンサイトにて試し読みしてみてください。(→アマゾンサイトへ)
『2022年 日本はこうなる』
ズバリ「こうなる」と断定された表現に予測情報の確度の高さや自信が溢れているこの書籍は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東洋経済新報社出版)による予測本です。
対象となる分野や切り口が広く、かなり細かいテーマに分かれています。AStoryがサポートしている企業のジャンルは多種多様なため、切り口が多ければ多いほど、とても参考になります。
まずは興味のある分野やご自身に関係のあるところから読み始めるのがおすすめです。
詳細はアマゾンサイトにて試し読みをおすすめしますが、昨年版で印象的だった内容をここでご紹介します。
2021年のキートレンドの一つに『AIと共に創る、データを超える「ストーリー」』が挙げられていました。
これは、社会や経済がどう動いたかを理解する時、そこには多くの人が受け入れやすい物語(ストーリー)があるとする、『ナラティブ経済学』の著者であり、2013年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授によるユニークな考え方で、簡単に説明すると、人々がそうなるであろうというありえそうな架空のストーリーを、何らかのきっかけで多くの人が共有できた時点で、未来はその方向に進むという内容でした。
つまり、AIが操るデータではできない、人間だからできるという主張が、パーパスブランディングの意義に繋がる興味深いトレンドだったのです。
伝えやすいストーリーを創ってそれをしっかり伝えていくこと、そこは人が頑張るところではないでしょうか。
なぜ年初に行うとよいのか?
このように、年初でその年1年の予測やキーワードがどういうものかという概要だけでも知って、「今年はこういう事象がメジャーになるのだな」と把握しておくと、PR戦略や活動の設計がしやすくなります。
また、これらの本は、広報(PR)担当者がメディアと話をする際、記者から「(そのプレスリリースの内容は)なぜ今なのか?」と聞かれることに対し、「なぜ今か」を客観的に証明する際にも大いに役立ちます。(プレスリリースの内容がその企業の都合や押し売りではないことを証明することは、ニュースとして採り上げてもらうために非常に重要です)
今回ご紹介した本を参照して、例えば、「三菱UFJ総研の○○氏が『2022年日本はこうなる』で述べているように…」などといったコミュニケーションに活用できる、客観性及び説得性を備えるためのツールになり得ます。
年末はその年の1年を振り返り、年初にその年のトレンドを把握し、仕事始めからその知識を活かしていくことは広報活動においてとても有効だと思います。
世の中のプレスリリースに足らないもの
仕事柄、多くのプレスリリースを拝見することが多いのですが、そのほとんどが企業の都合しか書かれていません。
日々膨大なプレスリリースが飛び込むメディアに、自社のプレスリリースが選ばれるためには、
「なぜ今なのか?」
「何の課題のために付加価値がついたサービスや商品のプレスリリースなのか」
が伝われば、自社の発信する情報の価値が上がっていくはずです。
そのためにもこれらの予測本からヒントを得ていただければ幸いです。
次回以降に今話題の”ビッグボス”がパーパスブランディングの実践者であることに触れ、パーパスブランディングに役立つ書籍についてもご紹介する予定です。ご期待ください。
AStoryでは2022年のPR戦略策定のお手伝いをしています。ご依頼・ご相談はコチラまで。